講師依頼のポータルサイトや、イベント・セミナーの告知など、講師として活動していると、プロフィールが必要な場面はさまざま。
あなたは一度作ったプロフィールを、どんな場面でも使い続けていませんか?
依頼を受けたいとき、イベントやセミナーに集客したいときでは、プロフィールに書くべき内容が変わります。
この記事では、目的別の講師プロフィールの書き方を、プロのセールスコピーライターが分かりやすく解説します。実際に使えるテンプレートや例文も紹介しています。講師の方は、プロフィールを書くときの参考にしてください。
なぜ講師プロフィールは用途別に書き分けたほうがいいの?

プロフィールは、一度作れば使い回せる“自己紹介の定型文”ではありません。何の目的で、誰に向けたものかにより、書くべき内容や強調するポイントが変わります。
同じ経歴でも、「講師依頼を増やしたい時」と「イベントやセミナーで集客したい時」では、プロフィールを見る相手が求めている情報が異なるからです。
たとえば……
- 講師依頼のポータルサイト
主催者が「この人に任せても安心できるか」「自分たちのイベントにふさわしいか」を重視してプロフィールを見ています。「この講師にお願いしたい!」と思うような専門性や実績、信頼感が伝わる内容が大切です。
- イベントやセミナーの告知
専門性や信頼感に加えて、参加者が「この先生の話を聞いてみたい」と感じるような、親しみやすさやテーマへの想い、受講後のメリットなどが伝わるプロフィールが効果的です。
どんなに素晴らしい経歴だとしても、読む人の関心や目的に合っていなければ、その魅力は十分に伝わりません。
“誰が読むのか”を意識して、用途ごとに内容や表現を変えたプロフィールにすることで、「この先生にお願いしたい」「このセミナーに参加してみたい」と思ってもらえるチャンスが広がります。
講師プロフィールの用途別のポイント

講師プロフィールには、代表的な2つの用途があります。
1つは「講師依頼の営業用」、もう1つは「イベント・セミナー集客用」です。
講師プロフィール文の文字数は、350字程度が一般的。この少ない文字数の中で興味を持ってもらうには、書くべき要素を厳選する必要があります。
それぞれのシーンで成果につながるプロフィールの書き方を、わかりやすく整理します。
1.講師依頼営業用プロフィール
講師依頼営業用プロフィールは、あなたをまだ知らない主催者や担当者に「この人に依頼したい!」と思ってもらうための“営業ツール”。
講師派遣サイト(Speakers.jp や 講演依頼.comなど)へ登録するときや、企業・団体向けの営業活動で活用できます。
まずはターゲットを明確に
ターゲットは、企業や団体で講師を探している「主催者」や「担当者」。
自分の講演や研修が、どんな業界・団体、どんな目的・テーマにフィットするのか?
ターゲットが明らかになると、プロフィールに書くべき「相手が知りたい情報」「刺さる内容」が自然と見えてきます。
主催者がプロフィールで確認するポイント
- どんなテーマで講演できるか
ネームバリューのある著名人でない場合、「講演テーマ」は特に重視されます。どんなジャンルや課題に対応できるかを明確に。 - 経歴・専門性
「このテーマを語るにふさわしい専門家か」「社会的な評価があるか」など、信頼性や実績が見られます。 - この人に安心して任せられるか
講演経験や研修実績が豊富かどうか、安心して依頼できる人物かどうかも重要なポイントです。
講演テーマの考え方
講師派遣サイトのテーマジャンルを参考にすると、どんな講演が求められているか、市場ニーズをつかみやすくなります。
- <例:Speakers.jpの主なジャンル>
オンライン講演/ビジネス研修/教育/スポーツ/人生/経済/社会・文化/ライフスタイル/環境/健康・美容 など - <例:講演依頼.comの主なジャンル>
人生/モチベーション/ビジネス/教育/福祉/芸能/文化・教養 など
自分の講演が、「どの業界・目的・テーマに合うのか」を最初に考えておくと、プロフィールの軸がぶれません。
講演テーマのタイトルが大事!
講演テーマのタイトルは“キャッチコピー”のようなもの。
「聞いてみたい!」「役に立ちそう!」と興味を持ってもらえるように、タイトルを工夫してみてください。
同じ内容でもタイトルが違うだけで、興味の引き具合が変わってきます。
例えば、
- 「50代からのパートナーシップ」
- 「10年間の冷戦を終わらせた50代からのパートナーシップの秘訣」
どちらの方が聞いてみたいと思いますか?
テーマのタイトルを考えるときは、セールスコピーライティングの手法を取り入れてみることもおすすめです。
2.イベント・セミナー集客用プロフィール
参加の申し込みの決め手となるのは、「講演テーマに興味がある」こと。そのうえで、そのテーマを「誰が」語るのかも大事なポイントとなります。
イベント、セミナーの告知ページやチラシに載せるプロフィールは、 「この講座に参加してみたい!」「この先生の話を聞いてみたい!」と、参加者に“ワクワク”や“期待感”、「話を聞いて損をしない」安心感を抱かせることが大切です。
ターゲットは誰?
ターゲットは、イベントやセミナーの案内を見て参加を検討する「参加者」「お客様」。
年齢・性別・職業など、読み手の属性は、イベントごとにさまざま。
イベント主催者がいる場合は、主催者に「誰をターゲットにしたイベントなのか」を確認して、ターゲットに合わせて、「知りたいこと」「共感できること」をプロフィールで伝えます。
参加者がプロフィールで確認するポイント
参加者がプロフィールを読むとき、主に次のポイントをチェックしています。
- テーマを語るのにふさわしい人か?
「確かにこの人の話は、信頼ができそう」という納得感が求められます。テーマと関連する経歴や実績、専門性を伝えます。
- 役立つ話を聞けるのか?
「自分にとって役立つ話をしてくれるのか?」という不安をなくすための安心材料を探しています。これまでにどんな未来や価値を提供してきたかの実績を提示することで、安心感を与えられます。
講師プロフィール 書き方のポイント
- 「どんな専門家か」「何ができるか」を端的に伝える
肩書きや実績をシンプルに表現し、一目で強みが伝わる表現を意識してみてください。
例:「組織のコミュニケーション改善を専門とする講師」「女性リーダー育成に特化した研修講師」など。 - 経歴・実績は具体的な数字や名称を盛り込む
累計受講者数、指導歴、受賞歴、研修実績、「信頼できる証拠」を明記します。
例:「これまでに全国で1万人以上を指導」「◯◯アワード受賞」「大手企業・自治体での登壇多数」など。 - 主催者・参加者へのベネフィットを明確に
「この講師に依頼すると、どんな成果や変化が期待できるか」を伝えます。
例:「導入企業の納期遵守率向上やコスト削減を実現している」 - なぜ自分がこのテーマを語れるのか、経歴や背景を伝える
専門性や信頼性の裏付けになる背景やエピソード、または想いを添えると、説得力が増し、共感が生まれます。
例:「自身も◯◯業界の現場で10年以上経験」「かつて大きな挫折を乗り越えた体験から、同じ悩みを抱える方の力になりたいと考えています」など。 - 著書やメディア実績があれば、加える
著書のほかに、テレビ出演や雑誌掲載などのメディア実績を伝えることで、権威性を示すことができ、信頼感が増します。
限られた文字数の中で、これらすべてを盛り込むのは難しいですが、「ターゲットが興味を持つ内容」を優先して掲載内容を検討します。
講師プロフィールでよくあるNG
- 略歴を年代順に羅列しているだけ
- 「このテーマを語るにふさわしいか」が伝わらない経歴を長々と書く
- 読者の興味を引かない冒頭で始めてしまう
大学卒業から現在に至るまでの略歴を年代順に紹介しているプロフィールをよく見かけます。講師プロフィールで必要な経歴は、「このテーマを語るにふさわしい人物である」ことを証明できる経歴だけで十分です。
新卒入社した会社での経験が、現在の活動の実績となるのなら紹介しますが、まったく関係がないのなら、紹介する必要はありません。ただし、ターゲットによっては「〇〇に勤めていた=安心感」につながるのであれば、略歴に含めるのも〇。
また、読み手はプロフィールを一言一句漏らさずに、きっちり読んでくれません。冒頭の一行は、略歴から始めずに、ターゲットが最も興味を持つことから、はじめてみてください。
講師プロフィールテンプレート
書き方のポイントを踏まえたテンプレートを紹介します。書く内容や流れの参考にしてください。
鈴木〇〇 〇〇〇代表 (氏名・肩書)
〇〇〇として、10年で延べ10,000人以上の〇〇〇を支援。
(数字で実績を示し、専門性・権威性をアピール)
〇〇〇の経験から、社会課題を解決することを目指し、2015年に〇〇〇を設立。〇〇〇の活動を始める。(現在の仕事に至る経緯を端的に。背景や想いを伝えると共感がアップ)
〇〇〇を探求し、〇〇〇を開発。上場企業を始め多数の企業、自治体に導入され、「〇〇〇が前年比40%アップ」などの実績を上げている。
(提供価値・ベネフィットで信頼を得る)
著書『〇〇〇』はAmazonの〇〇部門でベストセラー。新聞やビジネス誌など各種メディアでの紹介多数。(メディア実績で権威性を高める)
講師プロフィール例文
企業研修や講演会で人気のテーマを例に、プロフィールの例文を紹介します。いずれも架空の人物、架空の設定のプロフィール例です。
キャリアカウンセラーのプロフィール例
金井由美 キャリアデザインラボ代表
キャリアカウンセラーとして、延べ8,000人以上のキャリア相談・転職支援を実施。
大学卒業後、大手人材会社で10年間人材紹介業務に携わる中、働く女性や子育て世代のキャリア形成に悩む声を多く聞き、「一人ひとりが納得できる働き方を実現する社会」を目指して独立。
2016年にキャリアデザインラボを設立。
独自開発したキャリアワークショップは企業研修にも多数導入され、「社員の自立支援に役立った」と好評をいただいている。
テレビやビジネス誌など各種メディア出演歴あり。
プロジェクトマネジメントの専門家のプロフィール例
橋本健一 PMアカデミー代表
プロジェクトマネジメントの実務経験20年。これまでに国内外100件以上のプロジェクトを統括し、累計5,000人以上の管理者育成をサポート。
IT企業での大規模プロジェクト責任者を経て、2014年に独立。
「現場で成果を出すプロジェクト管理手法」を体系化し、上場企業や自治体での研修・講演実績多数。
「現場リーダーが即実践できる」ノウハウを提供し、導入企業の納期遵守率向上やコスト削減を実現している。
著書『〇〇〇〇』はAmazonベストセラー。
コミュニケーション講師のプロフィール例
野田さやか(株)スマイルコミュニケーションズ代表取締役
「苦手な人とも会話が弾むコツ」を伝える組織のコミュニケーション改善の専門家。
元アナウンサーとしての経験を活かし、これまでに全国2万人以上に向けて講座・セミナーを実施。
「話し方を変えただけで職場の雰囲気が明るくなった」と好評を集め、企業研修や自治体主催セミナーにも多数登壇。
自身もかつて人間関係で悩んだ経験から、「誰でも会話上手になれる」オリジナルメソッドを開発。
テレビ出演など、メディアでも多数紹介されている。
お片付け講師のプロフィール例
中川あかり ライフオーガナイザー/お片付けアドバイザー
整理収納アドバイザー歴15年。これまでに5,000世帯以上の「片付けられない」を解決サポート。
自身の子育て・共働き家庭での失敗体験から、「誰でも続けられる片付けの仕組み作り」を提案し、人気講座は常に満席。
自治体・企業の家事サポート研修やメディア出演も多数。
「自分もできた!家族が笑顔になるお片付け」をモットーに、家事の効率化・家族の協力を引き出す独自ノウハウを多くの家庭に広める事を目指し、全国で積極的に講演を行っている。
終活講師プロフィール例
松本由紀子 しあわせ終活サポート代表/終活アドバイザー
終活アドバイザーとして延べ3,000人以上の人生設計をサポート。
銀行・保険会社での勤務経験を活かし、資産整理や相続、エンディングノート作成をわかりやすく指導。
「終活=人生を前向きに楽しむ準備」と位置づけ、講座後は「安心して将来と向き合えるようになった」と喜びの声多数。
カルチャーセンターや各地自治体での講演実績も豊富。
自分自身も親の介護や相続で悩んだ経験から、「誰もが自分らしい最期を迎えられる社会づくり」をライフワークに活動中です。