美容室・サロンをこれからオープンするとき、すでに経営していて「最近お客様が減った気がする」と感じるときに役立つのが、競合他社分析です。
競合他社分析とは、周りの美容室やサロンの特徴を知って、自分のお店の強みを活かすためのリサーチのこと。
自分のお店の強みを知り、正しく伝えらえると「このサロンこそ、わたしのためのサロンだ!」と、お客様に選ばれる理由=差別化ポイントを作れます。
競合分析は、「ライバル店を潰す」ためではなく、 「自分のお店の魅力を尖らせる」ために行うものなのです。
競合他社分析って、何をしたらいいの? なんだか難しそう…。と競合他社分析をしたことがない方でも取り組めるように、目的やステップ、分析ポイントについて詳しくお伝えします。
競合他社分析が大切な理由
競合分析は、集客エリア内の競合他社との差別化を図るために、欠かせない取り組みです。
- お客様の求めているものが分かる
他の美容室・サロンがどんなサービスを提供しているかを知ることで、今のトレンドやお客様のニーズが見えてきます。 - 自分のお店の強みを活かせる
他の美容室・サロンと比べることで、これまで自分でも気づいていなかった、独自の魅力の発見にもつながります。「ウチしか提供できないこと」を打ち出せると、自然とお客様に選ばれるお店に。 - 価格設定やメニュー作りの参考になる
競合サロンの料金やメニューを知ることで、「この価格ならお得感がある」「このメニューを改善すれば、もっと差別化できる」などのアイディアが生まることも。 - 誰をお客様にするべきかが明確になる
競合他社の中に埋もれてしまう理由の一つに、「誰のためのサロンなのかわからない」ということがあります。競合他社の分析をすることで、あなたのサロンが「誰をお客様にすべきか」ターゲットが明確になります。
競合他社を知れば、自分の美容室・サロンの魅力がわかる
「競合分析」と聞くと、ちょっと難しそうに感じるかもしれません。でも、やることはシンプルです!
☑ 同じ営業エリア内のサロンをチェックする
☑ どんなサービスやメニューがあるか見る
☑ SNSや口コミを確認して、お客様の反応を知る
このような情報を集めて、競合サロンとの違いを見つけてみるだけでも十分です。
大切なのは、競合と比べることで、自分のお店の魅力を見つけることです。
競合他社には2種類ある

「競合」と聞くと、すぐに近くの美容室・サロンを思い浮かべるかもしれません。でも、実は競合には、大きくわけると2つの種類があります。
- 同業種の競合他社
- ターゲットが被る競合他社
1. 同業種の競合他社
同じエリアで営業している美容室・サロンのことを指します。 例えば美容室なら、カットやカラー、トリートメントなど、提供するサービスがほぼ同じお店です。
2. 間接的な競合他社
自分のサロンとは違うジャンルのサービスを提供しているけれど、お客様を取り合う可能性があるお店のこと。
例えば、美容室にとっての間接的な競合他社には次のようなサロンが考えられます
- ヘッドスパ専門店:美容室でヘッドスパを利用するお客様が専門店に流れる可能性も
- セルフホワイトニングサロン:美容意識の高いお客様が、美容室の頻度を減らし、通う可能性も
- ネイルサロンやまつげサロン → トータルビューティーを求めるお客様が、美容室の頻度を減らし、通う可能性も
間接的な競合他社との比較では、「違いを見つける」よりも、「美容室ではなく、なぜ他の選択肢を選ぶのか?」と「美容室にはない、マネしたいところは?」いう視点で情報を集めることがポイントです。
競合他社分析のステップ【美容室向け】
美容室を例に、競合分析のステップを具体的に解説します。各種サロンの場合も、同じステップで分析すればOKです!
- ステップ1目的を明確にする
「なぜ競合分析を行うのか?」を明確にします
- ステップ2競合サロンのリストアップ
エリア内の美容室をピックアップし、どのお店が競合になり得るのかを確認します。
- ステップ3競合サロンの情報収集
各美容室の特徴や強みを把握します。
- ステップ4自分のサロンと比較分析
集めた情報を分析し、強みや弱みを整理します。
- ステップ5差別化戦略を立てる
競合との差別化ポイントを見つけ、自分のサロンならではの魅力を強化します
ステップ1. 目的を明確にする
競合分析を始める前に、まず何のために競合分析を行うのかを明確にすることが大切です。
目的がはっきりすると、競合のどんな点に着目したらいいのかの方向性が定まり、効率よく競合分析ができるからです。
ここでは差別化のための競合分析について詳しく解説していますが、ほかにも以下のような目的で競合分析を行う場合があります。
- 価格設定の参考にするため
自分のサロンの価格が、エリアにおいて高いのか安いのか、適正なのかを判断できます。 - サービス内容を充実させるため
競合サロンの人気メニューやトレンドを知ると、自店のメニューに活かせます。 - 集客方法を改善するため
競合がどのようなSNS戦略や広告を活用しているのかを調べることで、自分のサロンの集客方法を見直せます。
ステップ2.競合サロンのリストアップ
競合サロンを把握するための最初の作業は、「どのお店が競合になるのか」をリストアップすること。
リストアップは、お客様が美容室を探すツールを使って「地域名 美容室」で検索し、同じエリア内のサロンを探します。
地域名は、「横浜」ように大きなエリアだけでなく、「桜木町」のように「最寄り駅名」やさらに絞って「町名」で検索しているお客様もいるかもしれません。
大切なのは、あなたのお客様が普段どうやって、どんな検索ワードで美容室を探しているか。
たとえば、ご年配の方なら、ホットペッパービュティ―やインスタグラムを利用していない可能性があるので、その場合は、Google検索だけでもいいかもしれません。
チェックしたいツール
- ホットペッパービューティー
- Googleマップ
口コミや写真もチェックできるので便利です。 - Instagram
ハッシュタグ(例:「#横浜美容室」)やアカウントをチェック。どんなポストやリール動画がアップされているか、も要チェック! - Google
Yahoo!はGoogleと同じアルゴリズムのため、検索ツールはGoogleだけで十分です。
ステップ3.競合サロンの情報収集
競合をリストアップしたら、次は具体的な情報を集めます。差別化を図る戦略を考えるために、「ココは絶対、チェック!」の4つの項目について、分析ポイントとあわせて紹介します。
集めた情報は、ExcelやGoogleスプレッドシートを用いて一覧にまとめていきます。
1.提供メニューと価格帯
競合サロンが「どんなサービスを提供しているのか」「どの価格帯で勝負しているのか」を調べます。
メニューや価格帯から、「どんなお客様をターゲットにしているのか」が見えてきます。
また、特別なオプション(ヘッドスパ、髪質改善、トリートメント特化など)があるかもチェックしてみてください。
分析ポイント
- 提供メニューの種類(基本メニュー・特別オプション)
- 価格帯(高価格・中価格・低価格)
- 他店と比較しての競争優位性
2.サロンのコンセプトや雰囲気

サロンの雰囲気からは、どんな価値観や好みの人をターゲットにしているかがわかります。
たとえば・・・
- 「ナチュラル推し」ならオーガニック・ヘルシー志向がターゲット
- 「トレンド発信型」なら若年層・美容感度の高い層がターゲット
- 「エレガント・ラグジュアリー」ならラグジュアリー志向や美容室にリラックスを求めている層がターゲット
分析ポイント
- 店内の雰囲気(シンプル・高級・カジュアル・ナチュラル・モダン等)
- サロンのキャッチコピー・紹介文・メニュー名に「オーガニック」「アンチエイジング」「韓国風」などの特徴的なワードがあるか?
- 「どんなお客様向けか」(ダメージが気になる・憧れのストレートヘアが手に入る等)を明確に打ち出しているか?
3.集客方法の分析
サロンによって、力を入れている集客方法が異なります。たとえば、「SNS中心の集客」「ホットペッパービューティーに依存」など。
たとえば、競合サロンがInstagramをうまく活用しているなら、SNS戦略を強化しあり、逆に違う集客経路を強化して、差別化するなどの戦略が考えられます。
分析ポイント
- 主要な集客チャネル(SNS・広告・口コミサイトなど)
- 投稿頻度・投稿内容の何がウケているか・フォロワー数
- キャンペーンやクーポンの有無
4. 口コミのチェック
「お客様の声」からは、何が評価され、何が不満になっているのかがわかるため、競合サロンの強み・弱みを知ることができます。
たとえば、「待たされる」という口コミが多ければ、「待ち時間ゼロ」をアピールすれことで差別化できます。「スタイリストの話が長い」という口コミがあったら、初回来店時のカウンセリングシートで「希望の接客法を確認している」ことが、アピールポイントにできるかもしれません。
逆に「良い評価」は、成功要因と考えられます。あなたのサロンの良さを生かしながら、競合サロンの良い点も取り入れることで、サービス向上を図れます。
分析ポイント
- Googleマップやホットペッパービューティーの評価点
- よく見られるキーワードや評価内容
- 低評価の理由と改善点
ステップ4.自分のサロンと比較分析
競合サロンの情報を集めたら、次はあなたのサロンと比べることで、強みや課題を明確にします。
1 競合と自分のサロンを一覧表で比較する
3で作成した競合サロンの情報一覧に、あなたのサロンの情報を書き込んでいきます。
比較ポイント
- 価格設定は、競合より高い?安い?
- 競合にない独自メニューがある?
- ターゲット層はかぶっている?異なる?
- コンセプトは被っていない?
- 集客方法は、競合が強みとしているチャネルを活用できている?
- 口コミ評価のポイントに違いがある?
2 競合より優れている点は?
競合サロンより優れている点は、あなたのサロンの勝ちポイント。優れている点をさらに強化すれば、「この部分では絶対に負けない」ポイントを作れます。
強化すべきポイントの例
- 徹底したダメージケア
- カットやカラーの技術
- 他店にない特別な施術メニュー など
3 競合に劣る点は?
「ここは競合の方が優れている」という点があったとしても、自信を失くさないでください。
劣っている点は、「改善」 もしくは「 別の切り口で差別化」するチャンス。競合の優れている部分を取り入れてサービス向上を図るもよし、その点では「競わない」と取捨選択するという戦略も考えられます。
改善・差別化の例
- 競合が「韓国風トレンドカラー」を打ち出しているなら、ターゲット層を変えて白髪染めで勝負
- 競合が「低価格×スピーディー」がコンセプトなら、「リラックスできる癒し系サロン」に方向転換
4 競合が対応できていない点は?
競合の特徴を分析していると、「こんなお客様は競合サロンでは満足できないな」といった、競合サロンが対応できていない、空いているポジションが見つかることもあります。
競合がターゲットとしていない層や提供していないサービスを見つけ、あなたのサロンの強みを活かせるポイントが見つかれば、独自ポジションを確立できます。
新たなポジションを見つける例
- 競合が「若年層ターゲット」なら、「大人女性・シニアターゲット」に特化
- 競合が「ヘアカットがウリ」なら、「頭皮ケア・髪質改善」を打ち出す
ステップ5. 差別化戦略を立てる
ステップ4までの情報をもとに、どうやったら競合他社と差別化できるのかを考えます。
1.「ならではの強み」=独自性を決める
差別化ポイントとなる「あなたのサロンだから提供できること」を明確にします。
「なんとなくいいお店」で終わらず、「まさに、わたしが探していたサロン!」と、お客様があなたのサロンを選ぶ理由となる大切なポイントです。
- 競合と比較し、「他にはない強み」をリストアップ
- 強みがない場合は、どんな強みを作れるかを考える
- 競合と似てしまうときは、どうやったら尖らせられるかを考える
2.差別化を実現する具体的な施策を考える
差別化ポイントを「お客様が実感できる形」にすることが大切です。ここがきちんとできていないと、強みが「売り文句」だけになってしまい、お客様の期待を裏切ることになりかねません。
お客様が来店したときに、競合サロンとの違いを体験し、納得できる形を考えてみてください。
- 「強みをどう具体的なサービスに落とし込むか?」を考える
3.ターゲットに合った「伝え方」を決める
差別化した強みが決まってもお客様に伝わらなければ、集客で効果を発揮できません。しっかりターゲットに届ける方法を考えます。
- ターゲット層を明確にする
- どんな言葉で伝えたら、お客様に響くのか表現を工夫する
- どこで、どう伝えるかを検討する(SNS・HP・広告・口コミなど)
たとえば、お客様がどこで情報を得ているか?」を考え、適切な媒体で発信することもこのステップになります。
4.競合との差別化を「ブランド」として確立する
余力があればぜひ取り組んで欲しいのが、ブランディング。「なんとなく良いお店」ではなく、差別化したサロンのイメージをお客様に定着させて、「◯◯といえばこのサロン!」というリピーターを増やすことが目的です。
- 「◯◯といえばこのサロン!」と認識されるようにする
- ロゴ・HP・SNSの統一感を持たせ、ブランド力を高める
- スタッフ全員が「サロンの強み」を理解して、ブレないサービス提供をする
競合他社分析から差別化をはかる
他のサロンとの差別化をはかるには、競合分析は欠かせません。しかし、個人サロンでは、なかなかそこまで手が回らず、競合分析までできているサロンは多くありません。
つまり、ほかのサロンがやっていないのなら、競合分析をすることで、一歩リードできるとも言えます。
競合サロンとの違いを明確に打ち出せれば、集客がラクになるだけでなく、「価格で比較されない」「もう、ほかのサロンには行けない」など、特別な価値を作ることが可能です。
ぜひ、取り組んでみてください。
「競合分析をする時間がない」「客観的に自分のサロンの特徴を見つけられない」という方は、競合リサーチ、強みの分析、ターゲット設定までお手伝いしております。無料相談をご利用くださいね。