特別じゃない人でも、価値がある

エッセイ

子どもの頃から、ちょっと変わった子や個性的な子に惹かれた。

突拍子もない不思議なことを言う子。
息をしているだけでセンスが滲み出るような抜群にオシャレな子。
視点が独特で面白いことを思いつく子。

「マジョリティよりもマイノリティでいたい」

クラスで浮いている自分を誇らしく感じるような10代を送った。


個性的であることへの憧れは大人になっても止まなかった。


フリーランスになり個性的な人たちとのたくさんの出会いの中で、
<個性的であることに憧れていたけれど「自分は真面目なだけの平凡な人間だ」>という事実に、ようやく気がついた。

突き抜けた個性は、わたしには、ない。

残念だけれど、こればっかりはどうしようもない。

しかし、その事実がわかってもなお、わたしは個性的であることへの憧れを捨てられずにいた。

しかしある日、
わたしの心が、吠えた。

個性が突き抜けてなくたって、いいじゃん!
普通でいいじゃん!
真面目なだけで、つまんない人間だって、いいじゃーーーーん!!

完全に、憧れと決別した瞬間だった。

それは、「特別であること」ばかりに価値を置く世の中への
問題提起であり、
反骨魂であったのかもしれない。

そしてわたしは、真面目で平凡な自分を極めることを決め、

普通の毎日の価値を伝える文章を綴り、

令和のサザエさんになろうと決めた。

すると面白いことに、
そんなわたしに「マイワールドを感じる」と言う人が現れた。

特別じゃなくたって、個性が突き抜けていなくたっていい。

どんな人にも、選ばれる価値がある。

でも、特別じゃない分、突き抜けていない分、その価値は、伝わりにくいかもしれない。

特別に目立つわけではない、
すごい実績があるわけでもない。

そんな人たちが持っている価値をお客さまに伝える。


「それが、わたしの仕事なんだ」と思った。

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